先日レターで痛風についてのご質問をいただきました。
今日はその質問に声でお答していこうと思います。
あとでレターも紹介させて頂きますが、今回は知人の方の症状についてのご相談です。
今回の放送をお聴きになり、改善策も含めお伝えして頂いてもOKですし。
アレコレ詳しくお話するので『説明が大変そう。。。』と感じたら、この放送をそのまま聴いて頂くのもありかな。
そんなことも想定しながら、痛風の仕組み・原因・予防法などお話させて頂きます。
ぜひ最後まで、楽しんで聴いてもらえたら嬉しいです。
この記事は、音声でもお楽しみいただけます。
痛風・お酒以外に気をつけることがありますか?
ではさっそく頂いたレターから紹介していきます。
知人の体調のことで質問があります。
40歳男性。痛風になって歩くのも大変。
お酒を飲むのを控える他に、何かいい方法があるんですか?
運動?身体のどの機能が低下しているのかな?
と気になりました。
よろしくお願いします。
このようなお悩みのご相談です。
まずは、レターを頂きありがとうございます。
痛風は『風がふくだけでも痛い』と言われる病気。
お知り合いの方も、本当につらい状態だと思います。
その気持ちが、少しでも楽になるように。
ただ『こんなことで症状を改善しましょう』といった内容ではなく。
『そもそも痛風とは?』や『何が原因?』そして『どう治していくのか?』
こんな内容について、くわしくお話していこうと思います。
痛風とは?
痛風とは足や膝などの関節に生じる関節炎(痛風関節炎)のことです。
ちょっと難しい説明になってしまいますが。。。
血液中で増加した尿酸がこれ以上血液に溶けることのできない状態になると関節内に漏れ出し、結晶化します。
この結晶(結晶はギザギザした形をしていて、トゲがあります)を白血球が壊そうとするとき、関節に炎症が起こり、痛みを生じてしまうのです。
痛風の大きな特徴は、女性と比べ圧倒的に男性の発症率が高いです。
これは女性ホルモンに尿酸の排出を促す作用があるから。
しかし、女性ホルモンの分泌量が減少する閉経後には男女差はなくなります。
また、痛風関節炎は特に足の指の付け根に発生しやすいですが、足首や足の甲、膝関節、アキレス腱の付け根、手首など発生することもあります。
そしてこれが気になるところだと思うのですが。。。
痛風の痛みは1週間から10日前後でおさまり、その後は全く感じなくなります。
しかし適切な治療を受けなかったり放置したりすると。
他の複数の関節に炎症が起こってしまったり、痛みが再発する間隔も短くなっていくのです。
そして怖いのが、腎臓の機能が低下したり腎臓や尿管、膀胱などに塊を作ってしまい『尿路結石症』という病気の原因になったりすることもあります。
なので、重症化する前に予防をしていきたいところです。
こんな怖い、痛い痛風ですが、なぜ痛風となってしまうのでしょう?
痛風の原因とは?
痛風の原因は、主につぎの5つが考えられます。
・プリン体の摂りすぎや食べすぎ
・アルコールの飲みすぎ
・腎臓の機能低下
・メタボリックシンドローム
・ストレスや激しい運動
それぞれ詳しく説明しますね。
プリン体の摂りすぎや食べすぎ
プリン体は、人間を含むあらゆる生物の細胞内に存在し、ほとんどの食品に含まれる成分です。
食事から摂取したプリン体は肝臓で代謝され、最終的に尿酸として体の外に排泄されます。
しかしプリン体を過剰に摂取して血液中に尿酸が増え過ぎると、血液中にたまり高尿酸血症を引き起こしてしまうことがあるのです。
プリン体は食品では肉類や魚類に多く、レバーやかつお、いわし、白子、あんこう(あん肝)などに含まれます。
また紹介した食べ物以外にも、食べ過ぎや高カロリー食によって肥満傾向にあることもリスクを高めます。
いつもの食事が、食べ過ぎだったり、プリン体を多く含む食品を摂り過ぎたりしていたら、注意が必要です。
アルコールの飲みすぎ
ちょっと難しい説明になってしまいますが。。。
アルコールは身体の中のエネルギー源である『ATP(アデノシン三リン酸)』を分解し、同時にプリン体が増加することで尿酸として体内に蓄積してしまうのです。
そして、アルコール自体にもプリン体が含まれ、特にビールに多く含まれます。
さらに気をつけたいのが、お酒を飲むときのおつまみ。
このおつまみの中にプリン体を多く含むものがある場合は、大変なことになってしまいます。
さらに。。。さらに。。。アルコールには食欲を増進させる作用もあるため、食べ過ぎにもつながります。
プリン体の含有量に関わらず、アルコールを過剰に摂取することをリスクを高めてしまいます。
腎臓の機能低下
痛風を発症してしまう方は、体内でつくられた尿酸をうまく排出できないタイプ。
それ以外に尿酸が過剰につくられてしまうタイプ、またこの両方を合併して発症するタイプがあります。
特に日本人では尿酸をうまく排出できないタイプの方が多いとされ、これには腎臓の機能が大きく影響しているといわれています。
できるだけ腎臓に負担のかからない食事や生活習慣を心がけたいですね。
メタボリックシンドローム
メタボリックシンドロームでは血糖値が高くなることがあり、血糖値を下げるはたらきのある「インスリン」というホルモンが大量に分泌されます。
インスリンには血糖値を下げる以外に尿酸の排出を抑える作用があります。
つまり、血糖値が高いとインスリンが多く分泌され、体内の尿酸が排出されにくくなって増加してしまう。
このことによって、痛風のリスクが高くなります。
ストレスや激しい運動
激しい運動をした際に大量の汗をかくと、体内の水分が不足し尿酸の排出量が減少します。
そのため尿酸値が一時的に高くなってしまうのです。
またこのときに十分な水分摂取ができていないと、尿酸値が下がらず痛風のリスクが高まります。
と、ここまでが痛風の原因になります。
ではどうやって痛風を予防していけばいいのでしょうか?
痛風の予防策
痛風の予防策で代表的なものは、つぎの4つになります。
・アルコールを控える
・食事の見直し
・適度な運動
・ストレスをためない
それぞれ、くわしく見ていきましょう。
アルコールを控える
今回の質問では、この点の予防はすでに対応されていると思いますが。
あえてお話します。
アルコールはそれ自体にプリン体を含むだけでなく、体内で尿酸値を増加させます。
ビールに限らず、アルコールは適度な摂取量にとどめるようにしましょう。
具体的には、男性では純アルコール換算で1日20g、女性ではその半分〜3分の2程度までが目安です。
純アルコール量は『酒の量(mL)×度数または%/100×アルコール比重』で計算できます。
例えばアルコール度数5%で500mLのビールの純アルコール量は『500×0.05×0.8=20(g)』となります
純アルコール量の目安
・ビール:中瓶1本(500㎖)
・ウィスキー:ダブル(60㎖)1杯
・日本酒:1合(180㎖)
・焼酎、25度:0.6合(110㎖)
・ワイン:180㎖
このくらいの量を目安にするようにしましょう
食事の見直し
痛風の予防には、大食いを避け1日3食規則正しい食習慣を守ることが大切です。
さらに、脂っこい食事や高カロリー(高エネルギー)の食品、和菓子や洋菓子なども控えましょう。
プリン体を多く含む食品は、つぎの通り
・鳥レバー
・イワシの干物
・あんこうの肝
・干ししいたけ
・かつお節
適度な運動
痛風の予防には、適度な運動によって肥満を予防・改善することも大切です。
運動の種類については、有酸素運動がおすすめです。
手軽にできるものとしては、ウォーキング(お散歩)が良いでしょう。
ストレスをためない
痛風の予防には、ストレスをため込まないようにすることも大切です。
ストレスは尿酸値を高める原因になります。
スポーツや旅行、音楽鑑賞など、ご自身に合ったストレス解消法を見つけてみましょう。